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女性のココロとカラダの基礎知識

Dr.宋美玄の数字から見る!働く女性のヘルスケア事情

LESSON 2働く女性のパフォーマンスを左右するヘルスリテラシー

日本の将来を考える上では、社会で女性の健康に関するリテラシーを上げる取り組みが不可欠―。第2回は、ヘルスリテラシーがパフォーマンス(職務遂行能力)に与える影響を見ていきましょう。

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女性特有の不調で約半数の人が仕事に影響を与えている⁉

月経に関する以上症状
PMSの有無

調査によると、月経に関する異常症状、PMS(月経前症候群)の症状を現在、または過去に経験した人は、それぞれ約半数。更年期症状や更年期障害を現在、または過去に経験した人は約4割でした。こうした不調によって、仕事のパフォーマンスが普段と比べてどれくらい変わるかについては、元気な状態の仕事を10点とした場合、月経随伴症状も更年期に関するトラブルもパフォーマンスが半分以下になる人が約半数いるという結果でした。

PMSや月経随伴症状によるパフォーマンスの変化
更年期症状や更年期障害によるパフォーマンスの変化

解説!女性ホルモンの変動がパフォーマンスに影響を与えることを知ろう!

月経周期に伴う心身の変化により、仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答した人が約半数、という結果は日頃の診療や様々なデータ分析を見ている中でも、納得の数値です。これだけ多くの人が、ほぼひと月に一度、しかも一定期間、多少不調があったとしても、女性はいつもと同じように振舞い仕事をしているわけです。個人差はありますが、月経前後に症状が現れる人は、ひと月の約1/3~1/2は不調を抱えながら仕事をこなさなくてはなりません。

そのつらさを男性や女性でも月経周辺症状が現れない人と分かち合うのは、現実的には難しいこと…。ただ、「月経周期によって心身の変化がある」、「個人のコントロールの範囲外でも不調に見舞われるケースが少なくない」ことを知るだけでも、理解の一歩につながるでしょう。

ヘルスリテラシーの高い人はパフォーマンスに与えるダメージが少ない

ヘルスリテラシー高低群×仕事のパフォーマンス

調査によると、調査対象者をヘルスリテラシーが高い群、低い群に分類し、1カ月の仕事のパフォーマンスを比較したところ、ヘルスリテラシーの高い人の方が仕事のパフォーマンスが有意に高いことが分かりました。また、ヘルスリテラシーが高い人の方が、PMSや月経周辺症状、もしくは更年期症状や更年期障害によって、仕事のパフォーマンスが下がる割合が低いことも、明らかになりました。

ヘルスリテラシー高低群×PMSや月経随伴勝常寺の仕事のパフォーマンス
ヘルスリテラシー高低群×更年期症状や更年期障害時の仕事のパフォーマンス

解説!「女性のヘルスケア対策」を身に着けることが、パフォーマンスの向上に!

産婦人科で働く女医は、月経や更年期に関連するトラブルに悩んでいるケースが一般女性より少なく、また、女医はピルを服用している率が有意に高いというデータもあります。これは、女性の身体への知識、対処法を熟知しているため、正しい行動ができているからといえます。ヘルスリテラシーが高い結果としてパフォーマンスを低下させず、労働損失を未然に防いでいる事例といえるでしょう。

月経周辺症状や更年期の症状があっても「何も対処していない」が最多!?

月経に関する以上症状への対処方法
PMSがあった際の対処方法

続いて、月経に関する異常症状があった際の対処、PMSがあった際の対処については、いずれも「何もしていない」と回答した人が最多。さらに、月経に関する異常症状による受診、PMS症状による受診については、いずれも症状が現れて4カ月以上経ってから婦人科・産婦人科を受診した、と回答した人が半数を超えていました。

月経に関する異常症状から受診までの期間
PMSに関する異常症状から受診までの期間

解説!不調を我慢することは“当り前のこと“ではありません!!

女性特有の不調を抱えながら働く女性が少なくないこと、そして不調に対して、「何も対処していない」人が極めて多いことが明らかになっています。でも、月経痛もPMSも更年期障害も「日常生活に支障を来すものは疾患」だという認識を持って欲しいのです。“つらくて当然”だと思わないでください。

月経痛を我慢している人は主に2通りだと感じます。

  1. どうしようもない、こんなものだと思っている。→だから、対処する必要もない。
  2. 月経の痛みには意味があると思っている。→だから、痛みを抑えることは不自然なこと。

いずれの考え方もNGです!!

ヘルスリテラシーの高い人は対処行動もスムーズ!

ヘルスリテラシー高低群×月経異常時の対処行動
ヘルスリテラシー高低群×PMS時の対処行動

また、ヘルスリテラシーの高い人の方が、そうでない人に比べて、月経異常時に約2.8倍、医療機関の受診や服薬等の対処をし、ヘルスリテラシーが高い人の方が、そうでない人に比べて、PMS時に約1.9倍、医療機関の受診や服薬等の対処行動をしていました。

解説!賢く対処するのが正解!働く女性を救う「ピル」や「ホルモン補充療法」という選択

PMSや月経痛がひどければ、健康保険の範囲でもその原因となっている女性ホルモンの変動を「ピル」でやわらげ、症状を改善できます。同様に、更年期症状も更年期で分泌が少なくなった女性ホルモンを「ホルモン補充療法」で補えば、心身症状を改善できます。

鎮痛剤やピル、ホルモン補充療法の副作用を心配する人もいますが、医師に相談しメリットとデメリットをよく知った上で薬を上手に選べば、その心配はありません。

今回の調査でも、ヘルスリテラシーが高い人は、仕事のパフォーマンスへのダメージが少なく、対処行動もスムーズという結果が出ていることから、健康経営の一つとして「企業全体でリテラシー向上への取り組み」を行うことが重要だと考えられます。

監修
丸の内の森レディースクリニック 院長/医学博士
株式会社WOMENS`HEALTH 代表取締役
宋 美玄(ソン ミヒョン)